この住まいの持つ最大の特色は、充分な天井高を得られた事である。天井の高さは、その部屋の居心地や雰囲気を大きく左右するため、設計者の腕の見せ所である。ただ単に高いだけでは均質なものとなり、密度のある空間は望めない。この設計では、場所に応じて思いきった高低差を設け、空間にメリハリをつけている。
施主は当時30代で、デザイン的にシンプルで近代的なものを望まれたが、住まいは、年齢・職業・社会的地位(電気設備会社社長)といったような、それぞれの立場によって考える事も大切であると力説し、「あと10年もすれば、この様にして、良かったと思う様になります。」と申し上げた。今振り返って見ると、私も当時、自分の好きな様式を相手に押し付ける危険千万な事をしたと、深く反省したが、近頃オーナーにお会いする機会があり、「住んでみて、益々気に入っている」とのお話を頂き、胸をなでおろしている次第である。 |